二重割引の錯覚 — 20%オフ + 10%オフはなぜ30%オフではないのか
複数の割引を重ねると、実質割引率は合計より小さくなります。掛け算で計算する方法、適用順序、定額クーポンと定率割引の順序による違いを例で解説します。
「全品20%オフ、さらに会員10%追加割引!」という広告を見ると、30%引いてくれるように感じます。しかし実際の割引率は28%です。2回目の割引が元の価格ではなくすでに割り引かれた価格に適用されるからです。
計算の仕組み
定価100,000円に20%割引と10%追加割引を順に適用してみましょう。
- 1段階目: 100,000 × (1 − 0.20) = 80,000円
- 2段階目: 80,000 × (1 − 0.10) = 72,000円
節約額は28,000円、実質割引率は28%です。2つの割引を1つにまとめると次のようになります。
実質割引率 = 1 − (1 − a) × (1 − b)
20%と10%なら 1 − 0.8 × 0.9 = 1 − 0.72 = 0.28 です。単純合計(30%)との差は、2つの割引率の積(0.2 × 0.1 = 2%)の分です。
割引が多いほど差は大きくなる
- 10% + 10% → 19%(単純合計20%)
- 30% + 20% → 44%(単純合計50%)
- 50% + 50% → 75%(単純合計100%、無料ではない)
- 20% + 10% + 5% → 31.6%(単純合計35%)
「50%オフ + さらに50%オフ」は無料ではなく、定価の4分の1を払うことになります。
定率割引同士は順序に関係ない
20%を先にしても10%を先にしても、掛け算の順序が変わるだけなので結果は同じです(0.8 × 0.9 = 0.9 × 0.8)。ただし、店によって段階ごとの割引額の1円未満を切り捨てる場合、数円の差が出ることがあります。割引タブの金額の端数処理オプションでこの差を確認できます。
定額クーポンが混ざると順序が重要
定価50,000円に20%割引と5,000円クーポンを使う場合:
- クーポンが先: (50,000 − 5,000) × 0.8 = 36,000円
- 割引が先: 50,000 × 0.8 − 5,000 = 35,000円
定率割引を先に適用し、定額クーポンを後で差し引くほうが消費者に有利です。5,000円のクーポンが割引率によって目減りしないからです。適用順序は販売者のポリシーで決まるので、支払い前に規約を確認しましょう。
逆に:目標の最終割引率に合わせる
販売者の立場で、すでに20%割引中の商品の最終割引率を30%にするには、追加割引率をいくらにすればよいでしょうか?
追加割引率 = 1 − (1 − 目標) ÷ (1 − 既存)
1 − 0.7 ÷ 0.8 = 0.125、つまり12.5%の追加割引が必要です。
カードの請求時割引・ポイント還元はまた別
支払額の5%をポイントで還元する仕組みは価格を下げる割引と効果が似て見えますが、ポイントは次回の購入でしか使えず、有効期限もあります。比較するときはポイントを割引と同じように合算せず、実際に使えるかどうかを別に判断しましょう。
計算機で試してみる
割引タブで定価を入力し、割引を追加で割引率を複数入れると、段階ごとの金額、最終販売価格、実質割引率、単純合計との差が一緒に表示されます。