増減率の計算と落とし穴 — 50%下がった後に50%上がれば元どおり?
増減率の公式、連続した変化は掛け算になる原理、50%下落後の50%上昇が元どおりにならない理由、基準値が0や負の数の場合の扱いまで例で解説します。
「売上が20%増えた」「株価が30%下がった」のように、増減率はニュースや報告書でいちばんよく使われるパーセントです。公式は簡単ですが、変化が何度も続いたり基準値が小さかったりすると、直感と違う結果になります。
基本の公式
増減率(%)= (後の値 − 最初の値) ÷ 最初の値 × 100
- コーヒー豆1kgの価格28,000円 → 32,200円: 4,200 ÷ 28,000 × 100 = 15%上昇
- 電気料金86,000円 → 73,100円: −12,900 ÷ 86,000 × 100 = 15%下落
50%下がった後に50%上がると
100万円の株が50%下がると50万円です。ここから50%上がると、50万円の50%である25万円が増えて75万円になります。元の値まではまだ25%足りません。
理由は、2回目の変化の基準がすでに変わった値だからです。連続した変化は足すのではなく掛け合わせる必要があります。
最終倍率 = (1 + r₁) × (1 + r₂) × …
- −50%の後に+50%: 0.5 × 1.5 = 0.75 → 全体で−25%
- +10%の後に−10%: 1.1 × 0.9 = 0.99 → 全体で−1%
- 3年連続+10%: 1.1³ = 1.331 → 全体で+33.1%(30%ではない)
元に戻るにはどれだけ上がればよいか
x%下がった値を元に戻すには、x ÷ (100 − x) × 100 だけ上がる必要があります。
- 10%下落 → 11.1%の上昇が必要
- 20%下落 → 25%の上昇が必要
- 50%下落 → 100%の上昇が必要
- 80%下落 → 400%の上昇が必要
損失が大きいほど、回復に必要な上昇率は急激に大きくなります。投資で「大きな損失を避けよ」と言われる数学的な理由です。
平均増減率は算術平均ではない
売上が1年目+20%、翌年−20%だったら平均0%でしょうか? 1.2 × 0.8 = 0.96なので、2年間で4%減りました。複数期間の平均成長率は幾何平均で求めます。
年平均増減率 = (最終倍率)^(1/期間数) − 1
上の例では 0.96^(1/2) − 1 ≈ −2.02%、つまり年平均約2%の減少です。
最初の値が0や負の数のとき
- 最初の値が0なら0で割れないため、増減率は定義できません。新規売上のように0から始まった場合は「新規」と表示するか、金額の差で説明します。
- 最初の値が負の数(例:営業損失−50億円 → −25億円)だと、パーセント表現は紛らわしくなります。この計算機は分母に絶対値を使って損失の縮小を+50%と表示しますが、報告書では「赤字25億円縮小」のように金額で書くほうが誤解が少なくなります。
小さな基準値の錯覚
会員が2人から6人に増えれば200%増加です。数字は劇的ですが、実際の変化は4人です。増減率を見るときは基準値の大きさと絶対的な変化量もあわせて確認しましょう。
計算機で試してみる
パーセントタブの3行目に最初の値と後の値を入れると、増減率と差が一緒に表示されます。4行目で「x%増やした値」を、5行目で「変化前の値」を確認できます。